ミコシギクとは、日当たりの良い湿地に生える多年草。キク科に属し、別名「ホソバノセイタカギク」とも呼ばれます。茎の高さは30~100cmほどと細長く、9~11月頃にかけて白い花を咲かせます。昔は広く分布していましたが、現在では茨城、静岡、愛知、岐阜、岡山、広島のみに生育し、絶滅危惧種に指定されています。
私は地元でドッグランとカフェを経営する傍ら、縁あって地域住民と学校をつなぐ地域学校協働活動推進員を務めてきました。ある時、福富小中学校の校長先生から「福富にはミコシギクという希少植物があり、害獣による被害で年々減少している」という話を聞きました。昔はそこら中に自生していたミコシギクは、活動を始めた2019年頃はたったの3本ほどしか残されていませんでした。広島大学では以前からミコシギクの研究をされている先生方がいるため、何とかこのミコシギクを地域で守っていけないかと相談。賛同してくださった先生方や広島市植物公園の技師さんなどがバックアップしてくださり、「福富のミコシギクを守る会」が立ち上がりました。2020年には害獣から守るための防護柵を設置。周辺の草刈りなども行いました。2020年には17株30本の残存を確認、3輪が開花、その後もより高い防護柵を設置し直すなどの工夫をし、順調に生育数をのばしています。
私たちの活動は保全と研究、発信、発展が柱になっています。連携している福富中学校の生徒さんたちは総合的な学習の一環で、この活動に携わり、主体的に学びながら地域への愛着を育んでいます。ミコシギクだけでなく、湿地帯である周辺環境にも興味を持ち、小型のサンショウウオといった生き物を発見したりなど、楽しく取り組んでくれています。子どもたちは自慢のミコシギクを地域内外にもっと知ってほしいという思いを持っていますが、自生地が私有地であることや乱獲を懸念して、今はまだオープンにはしていない状態です。このような難しい問題も抱えてはいますが、ミコシギクが持つ可能性を、連携する各所と共に探っていき、地域の魅力のひとつとして守っていけたらと考えています。
福富のミコシギクを守る会