持続可能な農業と安全な食を志して
もともと自然環境や農業に興味があり、東京で会社勤めをしながら新潟の棚田で米作りに携わっていました。新潟の農家さんは70~90歳代が中心で、これまで皆さんが築いてこられた技術や知恵を受け継いでいきたいと考えるようになりました。また、都市圏では小麦製品や乳製品の価格高騰が顕著で、この国の食の未来が心配になったのも自分で農業を始めてみようと思った理由です。ある時テレビを観ていて、化学物質過敏症のために化学肥料を用いた野菜を食べられない子どもがいることを知りました。これではいけない、本当に安心して食べられる、健康で安全な農作物を作らねばと、完全オーガニックの農業を志すことを決意。地元である広島で、標高や土壌、水質、寒暖差などを徹底的に調べ、最も農業に適していると感じた志和町で事業をスタートしました。こだわっているのは、持続可能な循環農業。ヒマワリや麦を育てて土に還し、雑草もすべて生かす草生栽培で作物を育てています。生き物調査や土壌診断も定期的に行い、豊かな土づくりにも心を砕いています。生き物がたくさん棲む肥沃な土地には、自然の上手な仕組みが備わっています。例えばウンカ(稲を枯らす害虫)が大量発生した時も、クモやカエルが多く生息する当農園では、生き物たちの捕食の効果で農薬を使わずに作物を守ることができました。これらの取組みが評価され、農業や土づくりに関する数々の表彰や認定をいただいています。