高校卒業後に就職した会社が倒産。会社の業務の一部であったテント製造業務を、私と仲間3人で引き継いで、昭和55年に創業しました。
私はもの作りが好きで、まずは「あったらいいな」「やってみよう」と考える性格です。図面を見て当たり前に作るのではなく、試行錯誤しながら完成させていくことも。それは、町工場だからできることかもしれません。
わが社の創業時からの軸は、テント製造です。例えば、運動会で使われる「●年卒業」などと黒字で書かれた日よけテントを、大小フルオーダーで受注。あるとき、テントの文字入れに、色彩のきれいな装飾が施せたらいいなと思い、大型プリンターを思い切って購入したことが、横断幕や懸垂幕の分野へと業務拡大するきっかけとなりました。同時に、パソコンでデザインを担当する社員を採用したのですが、結婚で退社。その後は私がデザイン全般を担当しています。このことを機に、「まずは自分で、何でもやってみよう」と思うようになったのは良かったです。
世の中にLEDが普及し始めると、電球より消費電力が少ないことから、イルミネーション装飾があちこちで見られるようになりました。パチンコ店の花輪にLEDライトを応用したことをきっかけに、わが社にも、立体的なイルミネーションの加工の依頼が舞い込むように。広島のドリミネーションはもちろん、東京スカイツリータウンのイルミネーションの話があったときはうれしかったですね。設計図などありませんから、デザインから担当していますが、ここまでのさまざまな経験があってこそ、できることかなと思っています。
非接触が求められたコロナ禍では、付き合いのある銀行員の方から「非接触でも対応できるテントができないか」という相談がありました。創業以来、テントを制作しているうちならできるのではないかと判断してのことでした。そこで、テントだけではなく、エアコン設備や照明、テント内での動線も考えた提案をし、現場で組み立てて、すぐ診療ができるように施工。大変喜んでもらえました。
今までの歩みや、SDGsに関する取組みを振り返ると、それぞれオーダーメイドで対応してきた経験が生きたのかなと、改めて「何でもやってみよう」精神の大切さを感じています。これからもアイデアを形にし、誰かのお役に立てる仕事をしていきたいと思います。
有限会社サンセイ工業