私はもともと、得意としていたデザインの分野で2021年11月に起業しました。東広島を中心にホームページ制作などの企業サポートで事業を進めてきたのですが、設立から半年後に大病が発覚。つらい治療を受けながら、気分が晴れない中で療養生活を送っていました。そんな時、私の心を癒やしてくれたのが、スマホに保存していたかつての旅先での写真でした。特に欧米のマルシェの写真に強く心惹かれ、美しい花々を見ては、「私も体調が落ち着いたら、人々の心を明るくする花を扱う仕事がしたい」と思うようになったのです。その後、体調が落ち着いた頃から、自身が思い描くような花屋を開きたいと、世界の花事情を調べたり、県北の花農家さんのところへ話を伺いに足を運ぶようになりました。そこで、栽培の技術があっても、輸送コストがかかったり人出不足で十分に花を出荷できないこと、市場に出されることなく廃棄される花があるという、フラワーロスの問題を知ったのです。その花農家さんで育てているバラは、県北の冷涼な気候の中で育てられている露地栽培のもの。茎が太くて立派な花を咲かせるそのバラを、多くの人に届けたいと考えました。市場を通さずにお客さまへ直接お渡し出来たら、価格を抑えつつ新鮮な状態の花を販売することができます。さらに、Instagramを通じて知り合った富山の花農家さんからもチューリップを仕入れることに。能登地震が発生した際、「花が出荷できなくて困っている」という投稿を見て、「何かお手伝いできないかな」と思い連絡を取るようになりました。今では通年で県北のバラを、冬から初春にかけてはチューリップを中心に取り扱い、ブーケやアレンジメントなど、お客さまのご要望に応じた花をお届けしています。
一連の事業に関しては、その趣旨に賛同した東広島市SDGsパートナー制度に登録し、補助金を活用。ヨーロッパに在住のフラワーアーティスト、奈須由美子先生のところで資格を取得させてもらうと同時に、花の監修を依頼しました。また、カリグラフィーデザイナーの安藤美咲先生にお願いし、オシャレなラッピング用紙を作っていただいています。店舗名は“小さな幸せ”を意味する、『Petit Bonheur(プチボヌール)』に決定。高屋町にある自動車販売店「ハピセ展示場」ほか、市内のカフェなどで販売やワークショップ、イベントを行っています。今後もロスフラワーを無駄にしない“フラワーロスレス活動”で、花と人の笑顔があふれる、住み続けたくなるまちづくりを目指したいです。
メアリーデザイン株式会社