東広島市に革工房ベルズと店舗・ベルズスクエアを構え、オリジナルの革製品を製造・販売しています。実は私は、若い頃から革職人を目指していたわけではありません。農業高校・大学の農学部で学び、家業のバラ農家を継ぐつもりでした。ところが1993年、生産規模拡大のために新築した温室がすべて台風で倒壊。被害額は5,000万円…。人生が一転しました。
家族が力を合わせ、残った古い施設でバラや野菜などを育てて店で販売したものの、それだけでは経営が不安定でした。雑貨やアクセサリーなどいろいろな品を売る中で、目を付けたのが「革」。ものづくりに興味があったので、見よう見まねで革小物を作るようになりました。財布やコインケース、名刺入れなどを2010年ごろから店に並べて、お客さまの意見を聞いては改善。シンプルかつ機能的なデザインを丁寧な作業で形にし、今では革製品が看板商品になりました。
2020年に「鹿の皮を活用しませんか」と、害獣駆除と食肉加工を手掛ける東広島ジビエセンターさんから提案されました。東広島市には推定5,000頭の鹿がいて、農作物への被害は年々深刻化。手塩にかけた野菜や果物を荒らされる農家の悔しさは、私もよく分かります。「人と動物が共存するため、鹿を適切な生息数に近づけるには狩猟は不可欠。いただいた命に感謝し、有効利用するために、私も貢献したい」と考え、2020年4月から本格的に鹿革製品の製造を開始。「広島ジビエレザー」と名付け、日常的に使っていただきながら、里山の恵みが感じられる商品を作っています。
株式会社エイジュクリエイト