サステナブル・ブランド国際会議

広島県で初開催!サステナブル・ブランド国際会議
第4回 SB Student Ambassador 地域ブロック中国大会

持続可能性を議論する国際会議
学生招待のための事前学習の場

「サステナブル・ブランド国際会議」とは、世界各地で開催される、グローバルで活躍するサステナビリティのリーダーが集うコミュニティ・イベントです。持続可能性を議論し、ネットワークを広げる場として、米国で2006年からスタートしたコミュニティで、日本では2017年から活動を開始しています。
日本ではこれまで横浜や東京で開催されており、同会議に高校生を無料招待する「SB Student Ambassadorプログラム」の事前学習の場として「SB Student Ambassador 地域ブロック大会」が用意されています。こちらの大会に参加した高校生たちは、その後、論文選考会を経て、選出された高校のみがサステナブル・ブランド国際会議に無料招待される権利を得るのです。

第4回となる「SB Student Ambassador 地域ブロック中国大会」はスタートして初となる広島県の東広島市で開催(2023年10月28日)、広島大学を舞台に熱い議論が交わされました。
今回の大会に参加したのは、同イベントの趣旨に賛同し、普段からサステナブルな研究・活動を行っている中国地方の27校。生徒176名、教師34名というこれまでにない参加者の数と規模感で、SDGsへの関心の高さが感じられるものとなりました。

東広島市のリーダーたちが寄せる
大会の開催や若い人材に対する期待

当日は、午前がサステナブルな取り組みを行う企業による基調講演及びパネルディスカッション、午後が各企業のテーマ別講演と学生たちによるディスカッション、研究発表を経て、総評の流れで進行します。
オープニングの挨拶では、広島大学学長の越智光夫氏から「今回の大会は、広島大学開学75周年の記念行事のひとつにも位置付けられています。サステナブルな社会の実現につながる、実りあるものになるよう願っています」とビデオメッセージが寄せられました。また、髙垣廣徳東広島市長は、東広島市は県内の市町で初となるSDGs未来都市に選出されていること、その中でSDGsとDXを要にしてまちづくりを進めていきたいこと、広島大学をはじめとする学術研究機関と共に社会課題の解決を図っていく決意や、未来を担う若い世代への期待などを語りました。
ほか、主催者である「株式会社 博展」の執行役員であり、「サステナブル・ブランド ジャパン」のカントリーディレクターである鈴木紳介氏や、共催の「株式会社 日本旅行」執行役員・時永幸雄氏からも挨拶をいただき、大会は華々しくスタートしました。

未来をかたちづくる新進企業の
志と情熱が伝わってきた基調講演

午前の部の基調講演は、「株式会社イノカ」代表取締役CEOの高倉葉太氏が担当。『“サンゴを通じて世界を変える”ことを掲げる、株式会社イノカが考えるこれからの時代に求められるアントレプレナーシップとは?』と題し、事業内容やこれまでの歩み、苦労したこと、そこから見えてきた新たな方向性などがたっぷりと語られました。
株式会社イノカは海洋治験サービスを行う会社で、もともとは代表の高倉氏がサンゴ好きだったことに端を発しています。当初はサンゴの入った水槽をインテリアとして販売する事業からスタートし、そのうちアクアリウムに精通する仲間と出会い、“海を見える化”することに成功。現在は、水槽の中で再現した海洋環境において、プラスチックなどの化学物質が海に与える影響をデータ化し、化粧品や食品メーカーなどから調査の依頼が殺到しています。
講演中にはスライドを使って「本物のサンゴはどれでしょう?」というクイズを出題したり、学生時代のユーモアあふれるエピソードを披露し、学生たちを巻き込んで場を盛り上げました。

広島をリードする企業の事例に触れ
SDGs達成を身近なこととして考える

その後は、スポンサー企業によるパネルディスカッションを実施。中四国・九州地方を中心にショッピングセンター「ゆめタウン」などを経営する「株式会社イズミ」、福山市に本社を置く食品容器の製造・販売を行う「株式会社エフピコ」、日本テレビネットワークの放送事業を展開する「広島テレビ放送株式会社」、トヨタ車を販売するカーディーラー「広島トヨペット株式会社」の4社が、以下のテーマで自己紹介を交えたディスカッションを行いました。

【講演テーマ】

  • 株式会社イズミ『地域・お客さまとともに達成するSDGs』
  • 株式会社エフピコ『持続可能な地域社会の実現は、地域の中小企業が担う』
  • 広島テレビ放送株式会社『地域メディアに求められるSDGsの役割について』
  • 広島トヨペット株式会社『自動車販売店でのSDGsの取り組み紹介』

会場に座って耳を傾けている学生たちの表情は皆真剣で、各社のSDGsに対する取り組みや、未来に向けてのビジョンを聞いては、しきりにうなずく様子が見られました。

さまざまな業界で見られる社会課題を
高校生の柔軟な発想で解決に導く

昼休憩をはさんだ後は午後の部がスタート。学生たちが各々の講義室へと分かれ、企業によるミニ講演を聴講したのち、出されたお題についてディスカッションを展開します。広島大学、大学院の学生がメンターとして各部屋の司会進行や、高校生たちへのアドバイスを担当。各企業から出されたディスカッションテーマは以下の通りです。

【ディスカッションテーマ】

  • 株式会社イズミ『お客さま・地域・お取引先さま・テナントさまとともに、SDGsの達成に向けてお店で取り組めることを考えよう!』
  • 株式会社エフピコ『食品トレーでSDGsに取り組む~プラスチックは貴重な資源!リサイクルしている食品トレーの回収を増やすために、できる企画や取組みを考えてみよう!~』
  • 広島テレビ放送株式会社『SDGsを紹介するテレビ番組を考えてみよう』
  • 広島トヨペット株式会社『過疎化による移動難民を減らしつつ環境問題も解決できる方策を考えよう』

企業の担当者から課題などの話を聞いたのち、いよいよ各グループによるディスカッションを開始。複数の高校が合わさって5人1組程度のグループを作り、お題に対する討論を行います。課題に対する解決の道筋が見えたら、模造紙に内容をまとめてグループ単位で発表を行います。
講義室の中で散らばった各グループからは、「この課題が起きた原因は何?まずネットで調べてみよう」という声や、「もっとイラストを使って見やすくしようよ」という意見が出され、解決策をまとめていく様子が見受けられました。

参加企業が感じた学生たちの頼もしい姿
SDGsに対する意識の高さに驚き

話し合いを行う学生たちへアドバイスを行い、出された質問に答えるなどしてディスカッションを見守っていた企業の担当者からは、若い世代のしっかりとした考えに対する驚きや賞賛の声が寄せられました。

株式会社イズミ マーケティング本部 顧客サービス部
SDGs推進課 課長 松永純一氏

普段からSDGsに対する研究をよく行っているんだなと感じるほど、言葉や知識が豊富で驚きました。今回、課題に対する解決策を探ってみて、自分一人ではできないこともパートナーや仲間がいれば実現しうるということが実感できたんじゃないかと思います。今後はリアルなつながりをどんどん作っていき、未来を担う人材としてさらに活躍していってほしいです

株式会社エフピコ サステナビリティ推進室
ジェネラルマネージャー 富樫英治氏

午前の講演時から感じていましたが、話している人をまっすぐに見つめる様子に意識の高さを感じました。課題解決のための色々なアイデアが出されていたので、皆さんの発表を聞くのが楽しみです。この大会はまずはエリアごとに開催され、その地域の課題解決を高校生が考えるという仕組みがいいですね。東京の国際会議もきっと素晴らしいものになるんじゃないでしょうか

広島テレビ放送株式会社 コンプライアンス推進室
室長 松島慶太氏

若い世代のテレビ離れが進んでいると感じる昨今で、どのようなアイデアが飛び出すかドキドキしています。SDGsの達成は、誰がどう実践するのかも重要だと考えています。若い人たちには、どうか自分の“好き”を見つけて自分なりの解決策をたぐってほしいと願っています。今回の開催地である東広島市は大学が多数あり、若い人が集まっているまち。期待するところは大きいですね

広島トヨペット株式会社 代表取締役社長 古谷英明氏

皆さんまじめで熱意がものすごく、頼もしいと思いました。講義の最中にはメモを取り、ディスカッションでは積極的に質問に来てくれました。電気自動車や水素ステーションに関する質問も飛び出し、よく勉強してるなと感心しました。これからも先進的なマインドを持って社会課題に関心を持ち、社会に出る際には、ぜひ自動車業界に飛び込んできてくれたら嬉しいです

高校生らしいフレッシュなアイデア
業界の社会課題に解決方法を提起

後半はメイン会場に戻り、各企業の課題に対する解決方法を代表グループが発表。いずれ劣らぬ素晴らしいアイデアが並び、それぞれの内容に対する評価が寄せられました。

株式会社イズミのテーマに対するGグループの発表

「地産地消を軸にした生産者と消費者をつなぐプラットフォーム」
食品ロスの削減をコンセプトに、あまり育たなかった野菜や不揃いの農作物を価格をおさえて販売。商品には二次元コードをつけて、おいしく食べられるレシピを提案。さらに未利用野菜を調理してバイキング形式のレストランで提供。その場で食べることで、プラスチックトレーの削減なども意識しました。

評価

まさに私たちがテーマとして考えている“循環型社会”を見事に実現してくれました。コロナ禍でバイキング形式は避ける傾向がありましたが、徐々に受け入れられているという背景もわかり良かったです。(松永氏)

株式会社エフピコのテーマに対するCグループの発表

「トレポでスマイルつかみトレー」
食品トレーの回収率アップを目指すため、小さな子どもが楽しめるような仕組みを考案。株式会社エフピコのマスコットキャラクター「ピコザウルス」のボックスを考え、ボディを透明にしてきれいな状態のトレーのみ回収できるよう工夫しました。上部を取り外せるボックス「トレポ君&トレポちゃん」も併せて提案。

評価

子どもが喜びそうなアイデアを取り入れているところが好印象でした。そして何よりも、キャッチコピーが素晴らしい。弊社のマスコットキャラクターについて調べてもらえたのもうれしく思いました。(富樫氏)

広島テレビ放送株式会社のテーマに対する
Gグループの発表

「のぞいてみよう世界の教育」
SDGsに対する視野を広げるため、世界各地の教育の現状にせまります。教育を受けられる環境が当たり前の国や、進んだ教育が行われている国をリサーチ。さらに好感度の高いタレントを起用して発展途上国を訪れ、現地の教育現場もリポートします。番組の告知はタレントのSNSを利用するなど細部まで案を練りました。

評価

どんな番組かがイメージしやすかったです。前半と後半とを分けた構成やタイトルのつけ方、タレントの起用など細かく設定されていて、リアルな画が描けました。バラエティも社会派の要素もあり秀逸だと感じました。(松島氏)

広島トヨペット株式会社のテーマに対する
Dグループの発表

「電気でスイスイ~過疎地と電動車の距離0.01ミリ~」
長距離移動が可能な人と困難な人に分けて考え、それぞれの解決策を探りました。前者はクラウドファンディングや国からの補助金などで電気自動車を購入し、タクシー会社に寄付。定額料金で送迎サービスを提供します。後者は移動式販売で生活を便利に。環境にやさしいエネルギーについても併せて調べました。

評価

移動難民と環境問題というふたつの課題を上手にクリアしてくれました。発表時のタイトルコールなど、楽しむ姿勢も良かったです。環境にやさしいエネルギーについてもしっかり学んでいるなと思いました。(古谷氏)

持続可能な社会の実現に向けて
それぞれが感じた思いや願い

最後は基調講演に登壇した高倉氏から、「課題解決を図るために、ネットで調べたり大人の意見を聞いたりしたと思います。けれどこの時点での解決方法は、あくまで仮説にすぎません。現場に足を運び、生の声を多く取りに行った人が、最後は圧倒的な課題解決力を持ちます。どうかこの先も未来のためにアイデアを出し、仮説を立て、自分の足で答えを見つけるような行動を続けてください」とエールが送られました。
また、主催企業の鈴木氏からは、東京で開かれるサステナブル・ブランド国際会議の詳細や論文選考会の案内があり、SB Student Ambassador 地域ブロック中国大会は無事に幕を閉じました。

閉会後、大会に参加した広島の高校の教員や生徒、共催である株式会社 日本旅行の担当者から感想が寄せられたので紹介します。

学校法人呉武田学園 武田高等学校

これまでも同大会に参加してきましたが、初の広島開催ということで広島大学の学生さんたちがメンターを務めてくれました。立派な先輩たちの姿を見て、生徒は自分たちの少し先の未来を描けたのではないかと思います。今まで以上に、サステナビリティをキーにした地元での将来像を考えるきっかけになったのではと思います(新本先生)

普段は色々な企業さんがしている取組みを教えてもらったり、意見交換する場が少ないので、貴重な経験になりました。持続可能な未来を構築するために私たちに何ができるのか、これからも考えていきたいです(芥川さん)

SDGs研究会に所属し、さまざまな社会課題について学んでいます。SB Student Ambassador 地域ブロック中国大会に参加するのは2度目ですが、また違った発見がありました。皆さんの発表を聞いて、視野が広がった気がします(山口さん)

近畿大学附属広島高等学校 東広島校

SDGsについて研究や学習を行う『探Qの会』の顧問を務めています。日頃の活動でも色々な取組みを行っていますが、今回、企業さんの事例などを聞かせていただき、探Qの会の活動にも生かせるんじゃないかと感じました。会から希望者を募っての参加でしたが、有意義な話が聞けてほかにない経験ができ本当に良かったです(野平先生)

私は今回、株式会社エフピコさんの課題解決グループに入りました。普段からリサイクルを意識していますが、どんな過程を経て食品トレーがリサイクルされるのかがよくわかり、SDGsの大切さを実感しました(土居さん)

SDGsについて企業の方から話を聞いたり、他校の生徒さんの発表を見て刺激になりました。SDGsは意外と身近なところにあると感じたので、達成に向けた自分なりの行動を起こしていきたいです(佐々木さん)

株式会社 日本旅行 SB Student Ambassador 地域ブロック大会担当

今回のSB Student Ambassador 地域ブロック中国大会の開催は、広島大学開学75周年事業の一環だったこともあり、大学でのSDGs取組みポスターや、東広島市のサステナブルな企業事例の掲示物が用意され、より華やかな雰囲気で行うことができました。企業や地域における社会課題は多数ありますが、産官学が連携して解決に乗り出すことが大事です。また、大会は年を追うごとに進展しており、学生さんたちの発想の進化を肌で感じています。そんな若い人たちが、これから私たち大人と手を取り合い、一緒に課題に立ち向かってくれることを心から願っています(鍋島さん)

それぞれの立場から、それぞれの視点で、SDGsについて考えた「第4回SB Student Ambassador 地域ブロック大会」。この日の参加者が共有した思いやビジョンが、必ずや持続可能な社会実現の一歩となるはずです。