リレーコラム

県内の市町で初選定のSDGs未来都市として ~下水道部~

下水道部

公開日:2022年12月

快適な暮らしを支え、川や海を守る
内閣府が認定する「SDGs未来都市」(SDGs達成に向け、経済・社会・環境の三側面の総合的取組みで、新たな価値を創造する提案を行った自治体を認定する制度)に、県内の市町で初めて選定された東広島市。17のグローバル目標と169の具体的なターゲットを掲げるSDGs(持続可能な開発目標)を達成するため、官民一体となって積極的に動いています。公共下水道を司り、施設の維持管理や下水道の認知普及に努めている「下水道部」は、美しい水環境を守るために多様なところで日夜活躍しています。
下水道部 部長
台信 達観
下水道建設課 課長
宅明 康範
下水道施設課 課長
小廣川 孝

下水道部が抱えるまちの課題

司会
まずは下水道部が担っている役割を教えてください。また、まちの下水環境について現状の課題はありますか。
台信
下水道部は、家庭などから排出される汚水を下水道管で浄化センターに収集し、きれいにして川や海に流しています。雨水の対策も私たちの仕事ですね。下水道部には「下水道管理課」「下水道建設課」「下水道施設課」の3つの課があり、それぞれで下水道計画に関することや公共下水道施設の整備に関すること、施設の維持管理などを担当しています。まちの課題としては、人口増加に伴う汚水量の増加です。
小廣川
東広島では下水道のエリアと浄化槽のエリアがあるのですが、下水道はまちの中心部で活用されているものなので、家が増えているところと下水道を使っているエリアが重なるんです。整備が追いついていないことが一番の課題ですね。また、建てられてから30年以上経過している浄化センターもあるので、修繕も随時行っていかねばなりません。阪神・淡路大震災を機に耐震基準が変わったこともあり、それ以前に建てられたものの設備をチェックし、基準を満たしていないものは耐震工事を行っています。
宅明
下水道管に関しても可動性を持たせ、もしもの時にはずれないような工事をしています。有事の際に使われるであろう避難所に向かう道路下や、主要幹線道路下の管から、優先的に工事を進めています。
小廣川
災害時に下水道部がどのように対応するか、緊急時の連絡体制をどのようにするかも考えておかねばなりません。いつもはつい、通常業務に追われてしまっているのですが、もしもの際の動きを普段から意識しておかないといけないと思います。実際に平成30年7月豪雨が発生した時には、夕方から雨が非常に強くなり、20時ぐらいには全職員が招集されるという事態になりました。民間の業者さんにも故障対応の依頼などを出し、私たちも緊急用のポンプを配備したりと大変でしたね。想定外の雨が降ると雨水がマンホールから入り込んで、汚水が増えて処理が追いつかなくなるんです。いい教訓になったと思っています。

持続可能な社会を実現する取組み

司会
皆さんのお仕事は、どういった点がSDGs達成に寄与しているとお考えですか。対応する取組みがあれば詳細を教えてください。
台信
私たちが手掛けていることは、SDGsゴールの「6安全な水とトイレを世界中に」「11住み続けられるまちづくりを」「14海の豊かさを守ろう」に直結していると考えています。6に関しては、「下水道未普及解消整備計画」に基づいて、下水道未普及地域の早期解消を目指すことが先決です。もちろん、先ほどの話に出たような施設の長寿命化や、正しく下水道を使ってもらえるような啓発活動を合わせて行っていくことも大切です。
宅明
それから、日本の下水道事業が担っている役割ってすごく大きくて、その技術や知識を開発途上国の水問題解決に役立ててもらえたらと、国際協力も進めています。JICAなどと連携して数カ月間研修を受けてもらい、現地に技術提供などをしています。これからも国際的な課題解決の一助を担えたらいいですね。
台信
11の「住み続けられるまちづくりを」に関しては、さきほど触れた耐震性強化の話が近いですね。下水施設が壊れてしまうと、衛生問題、交通障害、トイレが使用できなくなるなどのさまざまな問題が生じ、皆さんの生活に重大な影響を及ぼしてしまうので…。また、雨水については昨今のゲリラ豪雨のようなこともあるので、人口が集中しているところに大きな水路を設置したり、調整池を作ってそこに雨水を貯めるようにし、少しずつ流すなどの対策を行っています。14の「海の豊かさを守ろう」については、汚水処理施設で適切に処理した水を河川へ放流し、水質汚染の防止に貢献していることがまさにそのものですね。一般家庭のほか、工場などから排出される産業排水もあるなど、エリアの特性や排出される水質といったところを把握して、整備計画を進めることも重要です。これらすべてを果たすことが、下水道の基本的な役割である、公衆衛生の確保を持続的に果たすことにつながっていると考えています。
小廣川
私たちは日々の業務を通じて水環境の向上に努めていますが、水環境を守っていくには、皆さんが正しく下水道を使ってくれることが何より不可欠です。誤って流してしまう場合があるとは思うのですが、衣類や料理クズをそのまま流して、ポンプが故障することもあるので…。生涯学習部の出前講座の中で、子どもたちに「みんなの下水道」という講座を行っていて、「トイレットペーパーは水に流していいけどティッシュペーパーはダメ」「油は凝固剤を使って固めて捨てる」など、基本的なルールを伝えています。子どもたちだけではなく、今一度、市民の皆さんも正しい使い方ができているかどうかを振り返ってもらえればと思います。
台信
下水道に関心を寄せるという機会がそもそも少ないとは思うのですが、最近ではカラーマンホールやマンホールカードが人気を集めています。東広島では酒蔵をモチーフにしたものと、豊栄のほうにオオサンショウウオをあしらったカラーマンホールがあるのですが、結構皆さん見てくれているようです。マンホールカードは、限られた場所でしか配っていないので、その希少性も関心を呼んでいる理由のようです。市役所の周りには近隣の小学生が描いた絵をはめこんだマンホールもありますよ。
小廣川
マンホールカードは「下水道広報プラットホーム」というところが発行しているのですが、じわじわと人気を集めていき、今では600以上の自治体が取り入れているようです。種類も800以上あるみたいですよ。こういったところから、皆さんが下水道に関心を寄せてくれたらいいなと思います。

皆の力で美しい水環境を実現しよう

司会
最後に、これから目指すまちの姿や、市民の皆さんにメッセージなどがあればお聞かせください。
台信
東広島は、広島大学をはじめとする大学が複数あり、若い世代が多く住むまちです。できれば大学生が卒業しても、そのまままちに定着して住み続けてくれたらいいなと思います。その住みたいと思える理由のひとつが、「環境の良さ」だったらうれしいですね。そんな環境の良さを実現するためにも、まちの衛生や川や海の水質保全を守るわれわれが、一つ一つの業務を確実に行っていくことが大事です。
小廣川
私が所属する下水道施設課は、公共下水道の維持管理に関わる課です。市民の皆さんが24時間安心して使えるような施設を、これからも提供していけたらと思います。そしてそのためには、先ほどもお伝えしたように、皆で正しく下水道を使用していくことが大切。ルールを守って、気持ちの良い環境を維持していきましょう。
宅明
下水道建設課は、皆さんが使っている下水道管やマンホールの整備をしています。道路を掘って工事を進めるので、騒音や通行制限などのご不便をおかけすることもあるかと思いますが、ご理解をいただければと思います。また、下水道が整備済となったところでも、浄化槽やくみ取りをご使用の方もいると思いますが、公共下水道は衛生的で個人の維持管理が不要など、さまざまなメリットがあります。接続工事の一時的な負担はありますが、水環境や川、海の保全を長く続けていくためにも、公共下水道への切り替えにご協力をお願いできればと思います。