持続可能な社会を実現する取組み
司会
皆さんのお仕事は、どういった点がSDGs達成に寄与しているとお考えですか。対応する取組みがあれば詳細を教えてください。
台信
私たちが手掛けていることは、SDGsゴールの「6安全な水とトイレを世界中に」「11住み続けられるまちづくりを」「14海の豊かさを守ろう」に直結していると考えています。6に関しては、「下水道未普及解消整備計画」に基づいて、下水道未普及地域の早期解消を目指すことが先決です。もちろん、先ほどの話に出たような施設の長寿命化や、正しく下水道を使ってもらえるような啓発活動を合わせて行っていくことも大切です。
宅明
それから、日本の下水道事業が担っている役割ってすごく大きくて、その技術や知識を開発途上国の水問題解決に役立ててもらえたらと、国際協力も進めています。JICAなどと連携して数カ月間研修を受けてもらい、現地に技術提供などをしています。これからも国際的な課題解決の一助を担えたらいいですね。
台信
11の「住み続けられるまちづくりを」に関しては、さきほど触れた耐震性強化の話が近いですね。下水施設が壊れてしまうと、衛生問題、交通障害、トイレが使用できなくなるなどのさまざまな問題が生じ、皆さんの生活に重大な影響を及ぼしてしまうので…。また、雨水については昨今のゲリラ豪雨のようなこともあるので、人口が集中しているところに大きな水路を設置したり、調整池を作ってそこに雨水を貯めるようにし、少しずつ流すなどの対策を行っています。14の「海の豊かさを守ろう」については、汚水処理施設で適切に処理した水を河川へ放流し、水質汚染の防止に貢献していることがまさにそのものですね。一般家庭のほか、工場などから排出される産業排水もあるなど、エリアの特性や排出される水質といったところを把握して、整備計画を進めることも重要です。これらすべてを果たすことが、下水道の基本的な役割である、公衆衛生の確保を持続的に果たすことにつながっていると考えています。
小廣川
私たちは日々の業務を通じて水環境の向上に努めていますが、水環境を守っていくには、皆さんが正しく下水道を使ってくれることが何より不可欠です。誤って流してしまう場合があるとは思うのですが、衣類や料理クズをそのまま流して、ポンプが故障することもあるので…。生涯学習部の出前講座の中で、子どもたちに「みんなの下水道」という講座を行っていて、「トイレットペーパーは水に流していいけどティッシュペーパーはダメ」「油は凝固剤を使って固めて捨てる」など、基本的なルールを伝えています。子どもたちだけではなく、今一度、市民の皆さんも正しい使い方ができているかどうかを振り返ってもらえればと思います。
台信
下水道に関心を寄せるという機会がそもそも少ないとは思うのですが、最近ではカラーマンホールやマンホールカードが人気を集めています。東広島では酒蔵をモチーフにしたものと、豊栄のほうにオオサンショウウオをあしらったカラーマンホールがあるのですが、結構皆さん見てくれているようです。マンホールカードは、限られた場所でしか配っていないので、その希少性も関心を呼んでいる理由のようです。市役所の周りには近隣の小学生が描いた絵をはめこんだマンホールもありますよ。
小廣川
マンホールカードは「下水道広報プラットホーム」というところが発行しているのですが、じわじわと人気を集めていき、今では600以上の自治体が取り入れているようです。種類も800以上あるみたいですよ。こういったところから、皆さんが下水道に関心を寄せてくれたらいいなと思います。
皆の力で美しい水環境を実現しよう
司会
最後に、これから目指すまちの姿や、市民の皆さんにメッセージなどがあればお聞かせください。
台信
東広島は、広島大学をはじめとする大学が複数あり、若い世代が多く住むまちです。できれば大学生が卒業しても、そのまままちに定着して住み続けてくれたらいいなと思います。その住みたいと思える理由のひとつが、「環境の良さ」だったらうれしいですね。そんな環境の良さを実現するためにも、まちの衛生や川や海の水質保全を守るわれわれが、一つ一つの業務を確実に行っていくことが大事です。
小廣川
私が所属する下水道施設課は、公共下水道の維持管理に関わる課です。市民の皆さんが24時間安心して使えるような施設を、これからも提供していけたらと思います。そしてそのためには、先ほどもお伝えしたように、皆で正しく下水道を使用していくことが大切。ルールを守って、気持ちの良い環境を維持していきましょう。
宅明
下水道建設課は、皆さんが使っている下水道管やマンホールの整備をしています。道路を掘って工事を進めるので、騒音や通行制限などのご不便をおかけすることもあるかと思いますが、ご理解をいただければと思います。また、下水道が整備済となったところでも、浄化槽やくみ取りをご使用の方もいると思いますが、公共下水道は衛生的で個人の維持管理が不要など、さまざまなメリットがあります。接続工事の一時的な負担はありますが、水環境や川、海の保全を長く続けていくためにも、公共下水道への切り替えにご協力をお願いできればと思います。